7月30日(水)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

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監督:チン・モヨンJin Moyoung

1970年12月14日生まれ。1997年、ドキュメンタリー制作の現場に初めて足を踏み入れる。以後、主にテレビ用のドキュメンタリーを演出、制作。2013年、イ・ソンギュ監督の劇映画「シヴァ、人生を投げろ」(日本未公開)にてプロデューサーを努める。2014年『あなた、その川を渡らないで』で監督デビューを果たす。現在、北朝鮮出身の潜水要員に関するドキュメンタリー「異邦人」を制作中。

監督インタビュー

なぜこのご夫婦を撮ることになったのですか。

映画を撮るために、素材を探していた中で見つけたのがこのご夫婦です。韓国国営放送(KBS)のドキュメンタリー番組「人間劇場」で紹介されていました。私は本放送を見たわけではなく、ネット検索をしている中で見つけたんです。「白髪の恋人たち」というタイトルで不足ない夫婦愛が描かれていました。この番組でも十分におふたりの夫婦愛は表現されていましたが、1つの季節だけで描かれていて短かったんですね。私はこれだけで終わらせたくないと思いました。消費されて終わるアイテムにしたくなかったんです。私は、おふたりの真摯な愛情を映画のコンテンツとして消化させたいと思い、真剣に取り組みました。また、韓国だけでなく世界中の方々が共感できるような作品としてつくろうと努めました。彼らは映画の素材にふさわしい基準を持っていると思いました。私の中で、映画のキャラクターとして適切な基準が3つあります。1つが異国的であること、2つ目がユニーク、独特であること。3つ目が普遍性を持っていることです。おふたりはすべて兼ね備えていると判断しました。

ご夫婦はいつも民族衣装を着ています。日常でも韓服をお召しになるのは韓国では普通のことなんですか。

おふたりは韓服をとても好まれ、ふだんから着ていました。韓国の田舎の特に山間地帯では一ヶ月に一度、五日市という市場が出ます。おふたりは一番美しい民族衣装を着て手をつないで見物に行くことが長い間の習慣でした。ある時、たまたまその市場に来ていた地方新聞の記者がおふたりを目にして新聞に掲載したところ、ネットで話題になり、最初にSBS(ソウル放送)で紹介され、それからKBSの「人間劇場」に登場されました。その他、ご夫婦はたまにバラエティ番組でも紹介されるほど有名でした。ある意味、民族衣装が老夫婦を世に送り出したきっかけになったといえますね。

韓国でこの作品を見た観客のうち、20代の若者が全体の40%だったとか。なぜ若者に支持されたと思いますか。

韓国の20代は今までにないほど長く暗いトンネルを通っています。将来に希望を見出せない状況に陥っている。本来だったら青春まっただ中ですし、愛情を求める年代です。でも、愛情も駆け引きばかりで付き合ってもすぐに別れてしまう。本物の愛を求めていながら、本物の愛なんてないと思っていた若者たちが、この映画を通じて不可能だと思っていた愛を目の当たりにしたわけです。不可能な愛が現実に存在する。それを知った時にある意味、彼らは希望を持てたのではないでしょうか。おじいさんとおばあさんの愛と、自分が求めている愛を同一視できたのではないかと思います。

この作品は韓国ドキュメンタリー映画史上最高となる480万人を動員した記録的な大ヒットとなりました。小規模なスタートから最後は800スクリーンまで広がりハリウッド映画『インターステラー』を抑えて堂々のナンバー1となりました。どのように感じていますか。

愛国的な記者が売ろうと思ってそういうことを書いたんだと思いますが(笑)、映画としての全面勝負といいましょうか。映画対映画、人対人、産業対産業といった同じ観点から見て、メジャーである商業映画相手に良い結果を残せたのは、単純に気分がいいですね。ドキュメンタリー映画での成功は不可能に近いと言われていたので、ドキュメンタリーであっても観客にしっかりアピールできるものがあるならば成功は可能なのだと証明できた。その点で、同じドキュメンタリーを作っている同僚たちにも大きな力を与えることができたし、産業としても新たな道を開くことができたのではないかと思っています。

デビュー作がヒットしたことでご自身の変化はありましたか。

この作品が成功したことで、ドキュメンタリー関連の方々も含め、いろんな人から会いたいという申し出がありました。文化的な力を与えられたように感じます。とはいえ、一番重要なのは作り手として第2作、第3作をどんどん作っていくこと。他のことは一切気にせず、作ることだけをどんどん考えていきたいと思います。私が恐れることは観客の方々と離れることです。これからも、みなさんに満足していただけるものを作ることに集中していこうと思っています。

  • SKINFOOD

My Love, Don't Cross That River Directed by Jin Moyoung Produced by Han Kyungsoo
Starring Jo Byeongman Kang Gyeyeol Cinematography Jin Moyoung Edited by Hyun Jinsik
Music by Jeong Minwoo Production company Argus Film Distributed by Argus Film
監督・撮影:チン・モヨン